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スウェーデン語教師。スウェーデンの田舎生活で日々感じることを綴ります。

【移民社会スウェーデン】職業 スウェーデン語教師

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私は北スウェーデンのとある田舎で
成人移民向けのスウェーデン語教師として働いている。

 

スウェーデンはEUの中でも上位の難民受け入れ国。
シリアの戦争、エリトリアの独裁政権など
様々な困難を逃れスウェーデンまでたどり着き
たくさんの人がここで難民申請をする。
この文章を書いている2016年8月の時点で
スウェーデンでの難民申請者数は毎月約2千人ほど。
つまり毎月新たに2千人の外国人が
スウェーデンにやって来て、難民申請をする。

 

今の数字は落ち着いた方で、
2015年10月の難民申請者数は1ヶ月で約4万人。
スウェーデンの人口は東京23区と同じくらいで
2016年現在約990万人。
つまり2015年秋には、そこに
日本の地方中小都市丸ごと一つ分の人口が
たった一ヶ月でスウェーデンの外から引っ越してきた。
次の月も、その次の月も。

 

難民申請をしてからの待機期間が長い。
2015年秋にあまりにも多くの人々が難民申請をしたため
スウェーデンの移民局は正式に
「多くの人が順番を待っているため、
難民申請にどのくらいの時間を要するか
残念ながら言うことができない」と発表した。
子どもは難民申請中でもすでに学校に通うことができる。
成人は就労の権利はあるが教育は受けられない。
スウェーデン社会でスウェーデン語なしで就労するのは難しい。
他の難民申請者と共同で寝泊まりする仮の住まいで、
半年、一年、1年半・・・と移民局からの返事を待つ。

 

全ての人に難民許可が下りる訳ではない。
毎月約1千人の人が申請を却下されスウェーデンを去る。

 

長い待機期間を経てようやく移民局の許可がおり、
スウェーデン居住許可を得た成人には
ここでやっと正式に教育と就労の機会が与えられる。

 

スウェーデンで教育は無料。
子どもだけでなく成人教育も充実していて、
誰でも小中高の勉強のやり直し、新たな資格の勉強など
成人になってからも教育の機会が保障されている。
居住許可を持つ移民も、スウェーデンの教育の恩恵を受ける権利がある。
成人移民がスウェーデン語を学ぶ最初の学校として
各自治体に「成人移民のためのスウェーデン語講座」(SFI)がある。
私はそこで働いている。

 

昨日授業で基本的な個人に関する質問について学習した。
「子どもは何人いますか」という質問で、
ある男性が「一人いましたが、シリアで亡くなりました。」と答えた。
たくさんの人が戦争などで身内を亡くしている。
家族や友人と離れ離れで暮らし、
もらえるかわからない居住許可を長い間待ち続け、
彼らの不幸や死を遠く離れたスウェーデンで知る。

 

難民に関する問題は全く簡単な話じゃない。
スウェーデンで難民の話はすでに大きな社会問題。
人数が多すぎて、文化の違いがありすぎて、非常に敏感な話題。
私はスウェーデン語が好きだからという理由で
この仕事をしているけれども、
想像したこともないような文化の違いや感情の渦の
その真っ只中で、立ちすくんでしまうことがたまにある。
先進国で何不自由なく生まれ育った私の慰めの言葉なんて
軽すぎて本当は恥ずかしいけど言うしかない。
目が飛び出るような不当な要求をする人には返す言葉を失う。

 

それでもしばらく頑張ってみようと思う。

 

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(参考)
難民申請者数に関するデータ。スウェーデン移民局。
スウェーデン語 http://www.migrationsverket.se/Om-Migrationsverket/Statistik.html
英語 http://www.migrationsverket.se/English/About-the-Migration-Agency/Facts-and-statistics-/Statistics.html

難民申請に要する時間について。スウェーデン移民局。
スウェーデン語 http://www.migrationsverket.se/Privatpersoner/Skydd-och-asyl-i-Sverige/Nyheter/2016-03-01-Vantetider-for-asylutredning.html
英語 http://www.migrationsverket.se/English/Private-individuals/Protection-and-asylum-in-Sweden/Nyheter/2016-03-01-Waiting-for-an-asylum-investigation.html